過日、ナノテクノロジーをうたった化粧品のデモンストレーションを見ました。
食品(ビーフジャーキー)を乾燥したお肌にみたてて、 その浸透力と効果をアピールされていました。
このようなデモは各種あるようですが、いずれも「お肌につけて」 というよりも「化粧品が化学製品である証明」の感が強く思えます。
例えば、
●スプーンに口紅をとり、それを火で燃やす 燃えたら、石油系の原材料が多く含有。
●化粧水を強く振る 泡がでたら、洗剤のように界面活性剤が多く含まれている。 化粧水の分子が細かくなり、お肌への浸透が強くなる
●硬貨1円をあらかじめファンデーションをつけた手の甲に擦る
パウダー、クリーム、リクィドなんでも結構です。
まず、ファンデを手の甲に延ばし、それから1円でこすってみましょう。
黒ずんだラインがでましたか?
また、もし黒いラインがでなかったら他のファンデを使ってみましょう。 ファンデによっては黒いラインがでたりでなかったりします。
しかし、ご安心くださいね。黒いラインがでるからといって、 そのファンデがお肌に悪いというのではありません。
いわゆる「化学反応」であり、それでファンデの品質の善し悪しを判断する基準ではありません。
現実的に「お肌に1円をつける」ということは皆無ですが、 気分的に「黒い線」がお肌に悪いという印象が拭えないと思います。
他にもこの類いのティスティングやデモンストレーションはありますが、 余りの視覚的なわかりやすさのため、 結果と説明次第で化粧品に対する誤解や不信感を生み出してしまいます。
実際、「化粧水を強く振ると、化粧水の分子が細かくなり、 お肌への浸透が強くなる」といった全く根拠のないことでも、 「なんとなく、そう思ってしまう」というのも仕方ありません。
しかし、化粧品はあくまで「お肌つけて評価される」べきであり、 これらのティスティングやデモンストレーションは参考にとどめるべきでしょう。
事実、美容従事者や識者は、これらのティスティングやデモンストレーションを行いませんし、 その結果を化粧品の選択基準にもしていません。
あくまで「参考」であることを強調したく思います。
【文章】お化粧コンサルタント
メイクアップアーティスト 渡会治仁 |