昨今の化粧品、とりわけスキンケア製品については、 その効果を説明する言葉に片寄りがあるように思えてなりません。
それは雑誌媒体に限らず、製造・販売会社のリリースする パンフレットやリーフレットにまで及んでいます。
その御三家が「保湿・お肌に優しい・美白」。
そして、一般の方には馴染みのない配合成分(有効成分)の 表記と効果の説明。
例:○○酸○○塩、塩酸○○他
また併せて、「浸透性」の強調。 それはユーザーの「今、望んでいる(使いたい)化粧品」に他なりません。 その中、ダントツの希望が「美白(効果)」です。
しかし、その反面「美白(美白化粧品)とは、何を意味しているのか」 が正しく認識されておらず、やや言葉が一人歩きしている感があります。
大手化粧品メーカーのいう「美白化粧品」とは、 "美白化粧品は、メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぎます" という定義です。
つまり、「お肌を白くします」ということではありません。
肌色そのものをかえてしまうのが美白化粧品ではなく、現状を維持。
もしくは、「お肌の明度(明るさ)を低減させる要素を化粧品として制限できますよ」 という事です。言い換えますと「御自身の肌色を今より暗くしないことができますよ」 ということです。
あくまでも、"今の肌色"がその基準であり、"劇的にお肌の色を白くする"という 薬剤のような効果は期待できません。
それはあくまで、化粧品としてのスタンスであり、お薬とは区別しています。
ところが、「医薬部外品」「薬用美白化粧品」と表記されていると、 どうしてもイメージが先行し、「化粧品がお薬のように効く」 という印象になってしまいます。
しかし、正しくは"化粧品とお薬の中間"であり、 あくまで化粧品の域を越えません。
このように美白化粧品についてのイメージは、 化粧品メーカーの考えとユーザーの持つ印象とは、少し開きがあるようです。
美白化粧品は、そう表記する以上、美白有効成分をクローズアップ せざるをえないのですが、その他の保湿や角質層に対する働きかけも力が入っています。
つまり、多くのスキンケアに対する要望を1本(製品)にまとめた化粧品に、 "美白"という効果をプラスしていると考えたほうがスマートなようです。
【参 考】
医薬部外品とは、医薬品のように治療を目的とした効果はないが、 普通の化粧品よりお肌への効果が認められた化粧品で、 医薬品と化粧品の中間に位置するもの。
「薬事法」では、薬用歯磨、防臭化粧品、染毛料のように 「人体に対する作用が緩和であり、疾病の治療または予防に使用せず、 身体の構造、機能に影響を及ぼすような使用目的を併せ持たないもの」 と定義されている。
また「薬用」は「医薬部外品」に表示が認められているので「薬用=医薬部外品」となる。
【文章】お化粧コンサルタント
メイクアップアーティスト 渡会治仁 |