先に結論を申し上げますと、ヒトは両生類ではありませんから 「皮膚が酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸」はおこなっていません。
* 「皮膚呼吸は、肺の約1%」というデーターもあるようです。
にもかかわらず、「汗腺や皮脂腺から不要なもの、有毒なものを排泄すること」 を皮膚呼吸と同義語としている場合もあるようです。
つまり「皮膚の不要物を排出しているのを皮膚呼吸」ということになります。 これでは、一般的な「呼吸」という認識とは大きく食い違いがでてきます。
ヒトは皮膚を介して空気が出入りする事はありません。
また、皮膚は基本的に排泄器官であり、汗腺や皮脂腺から不要なものや 有毒なものが排泄されている器官でもあります。
従って 「化粧品は毛穴の奥まで入り込み皮膚呼吸を妨げます。 皮膚呼吸による酸素が送られないと肌はどんどん老化していきます」 という文章が疑わしいことがわかります。
ただし、皮膚は感覚器官でもありますから、メイクアップ(ファンデーション)や スキンケア製品塗布時(皮膚=お肌=お顔)に「圧迫感」を感じられる方もいらっしゃいます。
その、「圧迫感」を「皮膚呼吸」と結びつけやすいのは、皆さんもお気付きだと思います。 もともと、『感覚を言葉で表す(表記する)』というのは、とても難しいことです。
例えば、"しっとりする = 潤いを感じる"
ほぼ同義の感触表現です。化粧品をお肌につけた後に使われる感触表現であり、 お肌に水分・油分のバランスが保たれている時の主観でもあります。
しかし、具体的な測定や数値で表せる言葉ではなく、あくまで「個人の感想」です。
そのために、「圧迫感があるのは、そのコスメが皮膚呼吸を妨げているから」等 のセールストークにつなげる事が可能です。
「皮膚は呼吸している」というイメージは、とても掴めやすいがゆえに 彎曲されやすいのが実情のようです。
しかし、イメージと実際(お肌は呼吸していない)はイコールではないことを 強調いたしたく思います。
【文章】お化粧コンサルタント
メイクアップアーティスト 渡会治仁 |